東北・夢の桜街道

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春を夢みて

 

 南から桜前線の便りが聞かれるころになると、なんとなく気もソワソワしてきます。ふだん“花”にまったく関心を示さない人まで、“桜は別だよ”と言って花の下で酒盛りを始めます。私たち日本人にとって桜の花は特別な存在なのかもしれません。寒かった冬から日差しが和らぎ、農業にとっても、桜の花は種まきをする目安になっていました。また、新しい出会いや別れと、人生の節目に重なるのも春、桜の季節です。花見については、慶長3年(1598年)、太閤秀吉が京都の伏見で盛大な“醍醐の花見”を催したのが始まりだとも言われています。でも、 そんな花見の歴史、花を愛でる心、文化が十分に伝わらず、酒を酌み交わすことが広がってしまったのかなと思います。

 

 今回、多摩地域から都区内まで、多摩川流域の自選、推薦の桜の名所を歩いて気が付いたことがあります。桜の名所と言われていた多くの所で、桜は傷んで弱っていました。桜の花を見る人も、管理する人も、花は毎年3月になると蕾をつけ、咲くものだと思っています。桜が植えられて20年、30年、あるいは50年がたち、周辺の環境は大きく変わり、根元の回りもコンクリートに覆われ、枝も電線や建物ができるたびに切られ、また、多くの人が桜の根元でお花見をすることによって土が踏み固められ、樹勢が衰えてきました。


 

 今、私たちが見ている桜は、先人たちが想いを込めて植えてくれたものです。私たちは、その桜を次の世代に引き継ぐ、受け渡しの役割をしなくてはいけないと思っています。桜守は目の前の桜の木だけ元気にするのではなく、桜をきっかけに自分たちの町を好きになることです。そして、いろいろな人との出会いから、桜を元気にするために、環境のことも考えないとなりません。私たちにできることは限られています。まず自分のできることから始め、そして続けることです。

 

 桜をきっかけに"ホッと”心が和む町になるようにと願っています。

 

2008年8月26日
くにたち桜守 大谷 和彦

 

 

大谷 和彦 プロフィール

 

ナチュラリスト/環境カウンセラー/くにたち桜守

小学校を中心に、環境学習の授業に1年生から6年生まで広く関わっている。